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なるほど。前のアルバム『ジュピター』の時は、ライヴで演奏することを考えてシンプルに作るように努めたということでしたよね。今回のアルバムはもっと凝っていますが、初回盤についてるフリーDVDに収録されたライヴ映像を観たら、もう全然レコードと遜色なくライヴで再現できていて感心したんですけれども、その辺はどういう風に工夫したんでしょう?

JR:まず、そういうことは考えずにレコーディングしたんだ。ライヴでどう再現するかは後で考えることにしてたんだよ。スタジオではとにかく、どうせなら聴いて面白いものを目指すようにして、ライヴでの再現性は気にしなかった。あらかじめライヴでの演奏を想定して作った曲は今回ないんだ。例えばEP『タイズ・オブ・トゥモロウ』の中でも、“タイズ・オブ・トゥモロウ”はライヴでプレイしたことがない。あまりにも作りが複雑なんで無理なんだよ。

Adam:いつか試してみたいけどね。

JR:うん。そのうち。でも難しいんだよね。

楽しみにしてますよ。で、同じDVDには、すごく陽気に騒いでる映像も出てくるんですが――

Adam:アハハハハ。

あの騒いでる様子っていうのは、本当に楽しかったのか、それとも仕事が忙しくてタフなので、ああいう風に空元気を出すしかなかったのか、どっちでしょう?

JR:両方だね。

Adam:そう、両方じゃないかな。あのDVDに入ってる映像の中でもプロのカメラマンが撮ってる部分は、本当に楽しんでる場面だけど、自分たち自身で撮ったって分かる映像の方に写ってるのは、ツアーのストレスが溜まっててそれを発散させてる僕らなんだ。

JR:いつも一緒にいなきゃならないわけだから、どっかのバンドみたいにずっと喧嘩してたってしょうがない。なるべく自分たちで楽しんじゃおうと心がけてるんだ。それが出来なきゃ、こんな生活イヤになるからね。

Adam:頭がおかしくなるよね。

JR:だから、あのDVDに出てくるのは僕らの本当の姿だよ。実際……。

Adam:リアルな姿だよね(笑)。

JR:プロレスの真似事みたいなのもしょっ中やってるし。緊張をほぐすためにね。正気を保つため、っていう。

いわゆるメジャー・レーベルでのタフな仕事量を経験して、それに慣れてきましたか? もうちょっと楽にしたいとか思います?

Adam:メジャーに来てからのプレッシャーっていうのは確かにあるね。いろんな所からいろんな期待をされて、ビジネス側の人達に「観客に背を向けたらどう?」なんてくだらないことを言われたりする。全然分かってない人達と関わらなければならないっていうのは、もう、この商売の一部だよね。でもツアーの過酷さに関して言えば、もうすっかり慣れたって感じだよ。今もスーツケース1個の生活が3カ月間続いてるけどね。

JR:一番最初にツアーした時は確か4カ月間だったと思うけど、あの時はかなり辛くて。一度、解散の危機に陥ったんだ。でもみんなでミーティングをやって、「これで食っていく。こういう人生を選ぶ」ってことを再確認して。いろんなものを故郷に置いてきてツアーに出るのはハードだけど、それでもやんなくちゃいけないんだぞ、っていう覚悟ができたんだよ。今回も3カ月経ったけど平気だね。ときどき気力を充電するための3〜4日のオフがあればやっていける。まぁ、これが僕らの生活なんだよね。

その、解散の危機があった4カ月間のツアーっていつ頃の話ですか?

Adam:2年ぐらい前、メジャー・レーベルの世界に飛び込んでからだよ。

JR:初めて味わったメジャーの辛さだったね。

Adam:イノセンスの喪失ってやつ(笑)。

JR:大人になんなきゃならなかったんだ。

それを乗り越えるためのコツみたいなものは、もう飲み込めてます? それはどんなことですか? さっきプロレスっていうのも出ましたけれども。

Adam:別に、バンド内のコミュニケーションを普通に取るってことだけでもいいんだよね。僕らは決して完璧じゃないわけで、このツアー中にも失敗したって思えるライヴはある。そういう時はメンバー全員がダメージを受けて、精神的に不安定になったりもするんだけど、ちゃんと話し合うようにすると、みんな同じような気持ちだったんだって分かって(笑)。それで「各人が落ち込んでるときも、ユニットとしては気力を保って前進するようにしよう」っていう切り替えができたんだ。張りつめた空気も和らぐし、本当にコミュニケーションは大切だなって思うよ。

JR:どんどん話をするのは必要なことなんだよね。そうしないと、一人で孤独に悩んじゃって、発散のしようがない。だから友人たちやバンドメイトに頼るのはいいことなんだ。静かに過ごしたければ、耳栓をして読書をするのもいいけどね。正気を保つ工夫は必要だよ。

じゃあ、辛かった話ばかり聞いてしまったので、逆に楽しかった思い出話なども教えてください。

Adam:もちろん楽しいこともたくさんあるよ。ツアーはハードだけど、例えば朝起きて仕事へ行って帰って来て寝るだけ、っていう普通人の生活に比べたら、ずっと刺激的だよね。毎日が変化に富んでいて、いつも新たなアドベンチャー、って感じだし。驚くような土地に行ったり、素晴らしい人々に出会ったり、様々な文化を体験したりできるわけだし。僕の両親は日本に来たことなんかないし、今後もないだろう。本当にクールな体験だと思うよ。ケイヴ・インがなければ、今僕はここにいないだろうからね。日本に旅行に来れるアメリカ人を僕はそんなに知らない。そういう意味で得をしてるよね、絶対。あと、世界中のいろんな都市のナイトライフを体験できるっていうのも面白いよ。そこの土地の夜だけの文化を垣間見ることができて(笑)。

JR:一番クレイジーな人達が出てくるのが夜だから(笑)。とびきりヘンなやつらに出会うんだ。視野が広がるから楽しいけどね。

去年は、ジミー・イート・ワールドやスパルタとツアーをしてますし、フー・ファイターズともやったわけですが、その時の感想なども聞かせてください。

Adam:フー・ファイターズとのツアーでは、もう信じられないくらい大勢の観客の前でプレイしたし、しかも、マサチューセッツの郊外で暮らす子供の頃から聴いて育ったバンドの人達と一緒のツアーなわけだから……本当にシュールな感覚だったよ。ジミー・イート・ワールドもスパルタも素晴らしいバンドだし、すごく尊敬できる信念を持った人達だしね。作られたバンドではなくて――。

JR:リアルなバンドっていうか。

Adam:そう。地道な活動の積み重ねでここまで登りつめてきた、リアルなバンドだよね、どっちも。彼らといるとそれを実感するよ。他の多くのバンドよりリアルだし、情熱的だ。やってて楽しいツアーだったし、すごく僕らのためになったと思う。特にイギリスでフー・ファイターズとやった影響は大きくて、そのあと僕らのショーにやってきた 多くのキッズから「フー・ファイターズの時に観たけど、良かったよ!」って言われたんだ。

ちなみに、さっき話に出たDVDを見ると、ウェンブリー・アリーナでフー・ファイターズと一緒にやった2日間のライヴと、その前後にイギリスでやったワンマン・ライヴ、その全日でスティーヴが同じTシャツを着てるんですけれども、着替えるヒマもなかったんでしょうかね?

JR:え、そうだった?。

Adam:ワハハハハハ。

JR:みんないつもステージに上がる前に着替えるんだけど、ステージで着る服はいつも大体同じなんだよね。その前の晩に着てプレイして汗をかいてるから、昼間は着れないし。昼間着てる服はステージで着て汗くさくしたくないし。

Adam:一日中、臭くてたまらないだろうからね(笑)。

JR:だから、ステージではその前の晩に着て既に臭くなってるシャツを着てるわけ(笑)。

じゃあ、あのアルカトラズ(※元レインボーのヴォーカリストであるグラハム・ボネットが率いたバンド、イングウェイ・マルムスティーンやスティーヴ・ヴァイといったスーパー・ギタリストが在籍した)のTシャツはスティーヴのステージ衣装、ということなんですね(笑)。

Adam:あれ、なくしちゃったらしいよ。どこへ行ったか分からないんだって。

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