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※ブライアンにインタビューする直前に行なわれた、アマンダとの会話もちょっと掲載!

昨夜は初の単独ライヴだったわけですが、感想は?

Amanda:そうねえ、どう言ったらいいのか、とても難しいんだけど……お客さんの反応にしても、何がよくて何が悪いのか一言では言えないし。でも、ライヴ終了後に会場に残って、サイン会をしたのね。たぶん来てくれたお客さんの半分くらいと、ひとりずつ話ができたと思う。で、その時になってやっと「ああ、ほんとに楽しんでくれていたんだ」ってわかったの。それくらいライヴの間はみんな静かだったし、こういう反応には慣れてないところもあった。特にアメリカだと、場所によっては最初から終わりまでお客さんが叫んでいて、すごく騒がしかったりするから。でも、日本だとみんな静かで……ちゃんと聞いてくれている感じがした。それはすごくいいことなんだけど、アメリカとは違うから、こっちも判断の基準を変えないといけなかったの。タチの悪いお客さんに慣れきっていたせいね(笑)。日本のオーディエンスは、今回が初めてのライヴということもあってか、全てを味わい尽くしたいという気持ちが伝わってきたし、ブライアンのシアトリカルなジェスチャーにも、みんな大きな反応をしてくれて、それは面白かったわ。みんながエモーショナルになってたことはわかったわ。自分にとっはてライヴをやる意味があったと思う。

ちなみに、ブライアンがギター、あなたがハンドマイクで前の方に出てきてパフォーマンスした時、その場で1曲、セットリストにない曲を増やしてましたが、あの曲は?

Amanda:"Two-Headed Boy"というカバー・ソングよ。原曲をやっていたのは、知る人ぞ知るっていう感じの、素晴らしいアメリカン・バンドで、90年代の真ん中から終わりにかけて活動してたニュートラル・ミルク・ホテルっていうバンドなの。アルバムはたった2枚しか出していないんだけど、この曲が入っている作品は特に、わたしたちの中でも史上最高のレコードの1つに入っているわ。それくらい大好きなの。いつもみんなに「買いなさい」って勧めて回ってるのよ(笑)。

ああ、地道に再評価されてきてますよね。

Amanda:本当に素晴らしいことよね。なぜって、そのアルバムが出た後すぐ解散しちゃったから、いわゆるプロモーション活動の類いは全く行なわれなかったわけでしょう。つまり、純粋に人々の口コミだけで、その素晴らしさが広まっていったってことよね。

そうですね。さて、あなたは公式サイトでブログをかなりきっちりと書き続けていますが、今後書き上がる新曲と、書き続けているブログの中に、何か共通するものが見出されることもあり得るのではないでしょうか?

Amanda:それはあると思う。現実問題として、ブログの読者と、わたしたちの曲を聴いてくれる人たちがまったく重ならない、なんてことはあり得ないわけだし……ブログという形でわたしの生活を紹介して、こういうふうに曲を書いたり、暮らしたりしているんだっていうのを知らせていくことは、これから書く曲のバックグラウンドを教えているようなものだとも言えるわね。最近、家で1曲書いたんだけど、その時も実際、そんなことが頭をよぎったわ。新曲の歌詞には1行、去年亡くなった友達のことを書いた部分があって、そのことはブログにも書いていたの。だから、曲を書いている時「これが誰のことを言ってるのか、わかる人もいるかもしれないな」と思ったわ。謎めいたフレーズにはならないだろうなって。それが今の現実なのよね。インターネットがある、現代の生活のリアリティっていうか。そういったファンとの結びつきが必ずしも有効とは限らないとか、ブログやインターネットはバンドの一部でしかない、なんて言っていたら、もっと大きな流れを見失ってしまうことになるんじゃないかしら。

なるほど。ちなみにブログでは俳句なども披露していましたけど、どんなふうにして俳句という形態の詩を知ったのですか?

Amanda:アメリカでも俳句ってかなり知られてるのよ。本当はいろいろと決まりがあるとも聞いているけど、英語では5・7・5のリズムさえ合っていればいいってことになっていて。プロデューサーと、メールを全て俳句でやりとりしてた時もあったりしたくらい(笑)。

そうだったんですか。ちなみに、ブログに載っていた俳句を「写メ撮って/それで気持ちが/伝わるの?」と訳してみたのですが、どうでしょう?

Amanda:うん、それで正解だと思う(笑)。あの時は、パニック!アット・ザ・ディスコとツアーに出ていたんだけど、とにかくオーディエンスが若くて……みんな、写メに夢中だった。最前列の様子を見ていたんだけど、3000人から4000人が集まるような大きなショウを一番前で見ようなんていう子は、朝10時から来て待っているような、本当に熱心なファンなわけ。でも、肝心のライヴが始まると、後ろで見てる友達にメールを送ったり、携帯のカメラで写真を撮ったりすることにばかり夢中なのね。それじゃあ、せっかくライヴに来てるのに何にもならないだろうって、わたしは思ったんだけどね。わたしたちと同じくらいの年か、それより下の世代にありがちなんだけど、今この瞬間をすごした証拠を後々とっておきたいって思うあまり、本当にそこにいた人にしか体験できないことが感じられなくなってるような気がするわ。そういう気持ちは、わたしにもすごくわかるのよ。わたし自身いつも「今おきたことを、どうやったら残せるだろう?」「どうやってみんなに知らせよう?」っていうのが頭にあるから。そういうことをいつも考えながら生きていくのは大変なことだけど、どんどんエスカレートしてきてる気がするな。特に今の10代の子たちは、どんな出来事もウェブに載せたりして形に残さないとリアルな体験にならない、って感じだし。でも本当は、それって逆なのよね。その場で5枚写真を撮っていたとしたら、その間の体験はリアルなものじゃなくなってしまう。その間の気持ちは、その場にいなかったも同然だから。そういうことが、最近すごく気になるな。わたしたちのファンを見ていてもね。「ドレスデン・ドールズの大ファンなんです!」って言ってくれる子に会って、2分くらい話をして、サインを頼まれて、一緒に写真を撮って……それなのに、お互い相手の顔をまともに見ていない感じがするのよ。会った証拠は残るけど、心が通じ合った実感はないの。本当に大切なことなんて、他にはないのにね。

なるほどね。ドレスデン・ドールズのファンがどうかはともかく、若いバンドのライヴによくいる写メっ子たちについては、僕も何となくそんなことを感じてました。さて、最後に今後の目標と計画を教えてください。

Amanda:わたしたちの目標はバンドを始めた時からずっと同じで、音楽を作り続け、それをレコーディングやツアーの形で出していくこと。でも今いちばん大切なのは、とにかく休みを取ることね。2年間ノンストップでツアーを続けてきたから、本当に疲れ果てちゃって。ただ、オフの前にボストンでオリジナルのミュージカルをやる予定が入ってる。40公演あるのよ。ほとんどレコードに収録されている曲をそのまま使うことになるけど、キャバレーみたいな、すごく素敵なショウになると思う。で、その後は半年か、もう少し長めになるかもしれないけど、しっかり休んで、普段通りの生活を取り戻すわ。その間に新しい曲を書いたりもするだろうし、わたしはソロ・レコードも作りたいの。あとは……今までやってきて、計画を立てない方がうまくいくってことを思い知ったから(笑)毎日やるべきことをやっていくだけね。これからもそうやって続けていければ、言うことはないわ。少しリフレッシュして、また新しいところを見せられたらいいな。どんなアーティストにとっても、ツアーに出っぱなしっていう状態がいいわけないもの。必ずどこかでガス欠になる時がきちゃう。わたしたちも家に戻って家族の顔を見たり、そういう当たり前のところからリスタートするつもりよ。

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