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例えば、ショーの規模っていう話をすると、昨夜の公演が行なわれたシェルターなんかはそんなに大きくはない会場でしたが、求められれば、もっと大きな会場でやることには抵抗はないのでしょうか。

Chris:答はイエス。昨日のライヴに関して言えば、あのスペースで300人というのは、かなり無理があったように思えた。というか、危険だよ。アメリカで最近、狭い会場のイベントでの悲劇が立て続けに起きてるから、開演前にちょっと不安になってたんだ。会場の規模とか場所とかは、詰まるところ関係ないと思う。肝心なのは場所じゃなくて人々だから。会場が広くても、同じ人々が集まれば似たようなヴァイブになるはずだから構わないよ。よそよそしい雰囲気の会場というのもあるけど、それはまた別の問題だからね。

例えば、野外の大きなイベントみたいなのに呼ばれたら引き受けますか?

Chris:基本的には構わないと思うけど。

John:ケースバイケースっていう部分もあるけどね。例えば東京では300人位の小規模でというのが適切であって、巨大な野外フェスティバルはどうかな、って気もするし、僕らがそういうのをプレイして本当に楽しめるかどうか……。

Chris:うん、まぁ、他にどんなバンドが出演するのかとか、チケットはいくらなのかとか、そういうことにもよるよね。

John:本当にそうだよ。状況によるから、一概には言えないと思う。

Chris:僕らには活動していく上での方針みたいなものはあるけど、それはルールというより、気分よくやっていくにはどうすればいいか、っていうものなんだよね。どんな形態のショーならいいか、ってことよりも、ライヴがスムーズに行って、僕ら全員が快適でいられるか、ってことが重要なんだ。

Harris:オーディエンスを含めて、みんながね。

表現者として、自分達が表しているものをより多くの人と分かち合いたいという気持ちは誰でも、あなた達にも自然にあると思うんですが、多くのバンドが活動の規模を広げようと夢中になるあまり、どこかで間違ってしまうことも多いですよね。あなた達の場合、そういうことに関して、意識して気を付けていることなどはありますか?

Chris:うん。さっきと同じような答えになるけど、どんな状況におかれても、みんなにとって最善の方法を探っていきたいと思ってる。バンドを始めた頃は、この部屋よりも小さい地下室だとか、人ん家の居間でプレイしてたんだ。人で一杯になった狭い部屋で演奏するのはすごくエキサイティングだったよ。でももうそんなことはできないんだよね。最近になってカンザス州ロレンスでハウス・ショーをやってみたら、やる前はワクワクしたけど、結局うまくいかなかったんだ。バンドが見えにくかったし、家に入りきれなかった人達が大勢出てしまって、みんなをガッカリさせてしまった。だからその都度、どうすればうまくいくか注意深く検討する必要性を感じるし……例えばスタジアム級の会場や野外フェスのオファーは今のところないけど、もしそういう機会があったらその時に考えるよ。僕としては何でもトライしてみたいけどね。スタジアムでやってみるのも面白そうだと思う。あんまり広いと観客とコネクトするのが大変だろうけど、できるかどうか確認するためにもやってみたい気持ちはあるんだ。きっとかなり難しいだろうね(笑)。

例えばインディーで同じような志を持ってバンドを始めながらメジャーへ行ったバンド――中には友人もいるんじゃないかと思うんですけど、そういう人達との間で、活動を大企業にゆだねることに関して意見の相違があったり、それが議論に発展したりすることはあったりしますか?

Chris:んーと、メジャーに行った友達はいない気がするんだけど……同じ世代のバンドではね。今はメジャーとサインすることより、パンク・シーンにメジャーの手法を取り入れることの方が目立つんじゃないかな。パブリシティーに凝ったり、ツアー・マネージャーやブッキング・エージェントを雇ったり。バンドがすべて自分達でやることによって権限を守ることを信条としたDIYのシーンが、最初から反対してたようなことをやってる。僕はそういう手法がパンク・シーンに入ってくること自体に抵抗はないけど、それがエージェント達によって間違った使われ方をされたら台無しだからね。僕らが気になってるのはそういう面なんだ。メジャー・レーベルはもう新しいバンドに関心がないみたいだし。最近ではブラッド・ブラザーズがメジャーに行ったけど、それ誰?って感じだよ。

John:いや、メジャー・レーベルは最近また(インディー・バンドに)興味を示すようになってきてるよ。ヤー・ヤー・ヤーズはインタースコープと契約したし、マーズ・ヴォルタはユニヴァーサル、そしてブラッド・ブラザーズ、って具合にやっといろんなバンドが引き上げられてサインされるようになってきた。さっきのパブリシティーの話に繋がるけど、今アメリカではインディー・バンドがものすごくハイプされるようになってきたからね。ブラッド・ブラザーズは違うけど、ヤー・ヤー・ヤーズはこれでもかっていうくらいにハイプされて、即メジャー・レーベルに契約された。スパルタとかも――

Chris:うん、それは分かるけど、自分としてはそういうバンドとの関連性を感じたことはないんだ。彼らに対して仲間意識はないんだよね。なんか、急にパッと出てきたような気がして――

John:お前の頭の中ではそうかもしれないけど――

Chris:そう、個人的な意見だよ。僕はそう感じてるってこと。

John:例えばヤー・ヤー・ヤーズは、最初は100%DIYだったんだ。僕が作ってたファンジンに、彼ら自身から直接、EPのCD-Rコピーが送られてきたよ。そういった地道な活動から評判になって大きくなっていったんだ。そして注目されるようになって、彼らはそれに乗っかった、ってこと。マーズ・ヴォルタとスパルタの前身バンドであるアット・ザ・ドライヴ・インも、完全にDIYだった。自分達でツアーをブッキングして、狂ったようにツアーしまくってた。そういったDIYで始めたバンドが、徐々にメジャーとサインするようになってる。ストロークスとかホワイト・ストライプス、ハイヴズなんかのインディー・ロック的なものがビッグになったから、インディー出身でメジャーに行くバンドはこれから増えていくんじゃないかな。

そういう状況の中で、さっきクリスが言いかけてたように、インディペンデント精神が本来持っているいいものを台無しにされないように戦っていくには、自分達は絶対こういうふうにはしないぞ、という姿勢を示し続けることが重要なんでしょうかね?

Chris:僕らはそれを、戦っていかなければならない問題というふうには見てないんだよね。他のバンドがどうしようと、それはそのバンドの自由だと思うし、僕らの選択は違う、ってだけのことなんだ。妬むこともないし……「メジャーに行くんだって? いいんじゃない? うまくいくかどうか。そのうち切られて解散するかもよ」ぐらいにしか思わない。やってみる気があるなら、やってみれば?って感じだよ。僕らにとっての戦いはそういうことじゃなくて、できる限りいいバンドになることだから。僕らが最高だと思える音楽を作っていくことに奮闘しなければいけないと思ってる。

なるほど。えーと、この話についてはもう少し突っ込んで聞いてみたい感じなんですけれども、まもなくライヴ本番なので、最後にQ AND NOT Uの今後の活動の展望というか、どういうふうにやっていきたいかっていうバンドの方針のようなものを教えてください。

Chris:とにかくツアーはたくさんやっていくつもりなんだ。秋までには新しいシングルを出したいと思っていて、その後もツアー。来年には新しいアルバムに取りかかれるかもしれない。そんなところだよ。新しいマテリアルを書くのがすごく楽しみなんだ。僕らの曲は使い捨てではないけれども、しばらくずっと演奏してると、それとは違うものを作りたくなるものなんだよね。それに、最新アルバムを作り終えてから、いろいろな音楽に触れてきたし、他のメンバーにも新しく音楽を紹介してもらったし。9カ月ぐらいしか経ってないけど、そういう新しい影響が自分の中に貯まってきていて、早く外に出たがってるよ。

John:やっぱり、次のアルバムに期待して欲しい。去年リリースした『DIFFERENT DAMAGE』も僕らをしっかり表してると思うけど、もう過去のものに感じるからね。今の僕らの姿を、音楽で表現したい気持ちは強いんだ。

それは本当に楽しみです。今日はライヴ前の貴重な時間に、どうもありがとうございました!

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