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ところで、バンド名「nearLY」の最後のLYを大文字にする理由は、どうしても秘密なのでしょうか? 日本のリスナーにヒントだけでも教えてくだされば嬉しいです。

Jerome:いや、どうしても秘密ってわけじゃないんだ。夢の話にしても、最初は話しにくかったんだよね。でも、意を決してレコード会社の人やパブリシストに打ち明けたら、『とてもアーティスティックで野心的な作品なんだから、人々に説明するべきだ』ってみんな言うんだ。そもそも僕がこのレコードを作ろうと思った理由は何だったのか、鍵となることを話すべきだって。それで僕も折れて、プレスに夢のことやコンセプトを話すことにしたんだよ。でも正直言って、最初は話すことがキツかったよ。夢に長年悩まされるなんて、本当にプライベートなことだからさ。まあ、インタビューの数をこなすにつれて、徐々に慣れてきたよ。で、バンド名の『LY』については、全部大文字にも全部小文字にもしたくなかったからそうなった、というものなんだけど。

そうなんですか(笑)。

Jerome:元々はこれも、一連の夢と関係あるバンド名なんだ。夢の終着点に徐々に近づいていってるような感覚があったから、ニアリー。まるで旅のようだったよ。夢の終わりと、レコードの完成に、徐々に到達しつつあるような気がしてた。だから、ブレットと2人でこのレコード用にスタジオを予約する時は、必ず“ニアリー”という名前で予約を入れてたんだ。完成がいつになるかは分からなかったけど、終わりが近いことは気づいていたからね。

なるほど。ところで、アルバムのインナースリーブに使われているアーティスト写真は、昨年サマーソニック出演のために来日した際、大阪のホテルで撮られた写真のようです。このフォトセッションは、どういう状況で行なわれたものなのでしょう?

Jerome:あれはどれも、プロモーションに使うことを念頭に撮られたものではないんだよね。お世辞でも何でもなく、僕は昔からずっと日本が大好きで、もう4回行ってるけど、世界一好きな場所と言ってもいいくらいなんだ。あの写真に関しては、ホテルの部屋で何気なく撮ったものなのにも関わらず、人を惹き付ける何かがある写真だと思う。特に、僕の背景に大阪の町が見えてる写真、あれは色んな意味で象徴的だし、アルバムの雰囲気をうまく表してると思ったんで、インナースリーブに使うことにしたんだよ。

わかりました。さて、まもなくライヴ・パフォーマンスやインタビューを収めたDVD作品がリリースされるようで、非常に楽しみにしています。と同時に、これほど早いタイミングでライヴ作品が出てくることに少し驚いています。なぜツアーをそれほどしていないうちから、この種のアイテムを作成しようと考えたのでしょうか?

Jerome:レコード会社やプレスによって定められたルールに従って活動するのもつまらないと思うんだ。年に1枚以上リリースしてはならないとか、シングルを切る間隔は空けなければ失敗したと思われるとか、業界が決めてきたそういうルールには興味ないよ。でも、DVDといっても『ボン・ジョヴィ・アット・ハマースミスオデオン』かなんかみたいなコンサート・ヴィデオを出すわけじゃないからね。その辺は誤解しないで欲しいんだ。言ってみればEPK(エレクトリック・プレス・キット)のような、プロモーション資料的なものだよ。DVDを再生すると、まずライヴ風景が映し出されて、それから僕がアルバム制作についてのインタビューに答えてる内容になってる。次にまたパフォーマンスが流れて、今度はバンドの結成について話してる。アルバムのコンセプトについても詳しく話してるよ。雑誌か何かで読むのと、実際にその音楽が流れてるのをバックに人が話してるのを聞くのとでは、全く違うと思うからね。ジョー・キプトンとメリン・ランドリーという2人の人物からこの映像作品についてアプローチがあった時、僕はそういう観点から興味を持って話に乗ったんだ。繰り返すけど、ライヴ・コンサートのDVDではないからね。ライヴを出すにはタイミングが早いということには異論はないよ。僕達がやりたかったのはそういうのじゃなくて、ライヴ映像が幾つか入ったEPK的なものをリリースすることだったんだ。

ライヴ・メンバーは、12ラウンズのアティカス・ロスの弟レオポルド・ロスがギターを弾いている他、元マーズ・ヴォルタのエヴァ・ガードナーも参加するなど、なかなか興味深いラインナップになっています。これらの面々はどのようにして決まっていったのでしょう?

Jerome:バンドに適してるだろうと思ったメンバーに電話をかけてみたら、全員がイエスと言ってくれたんだよ。特に、ライアン・ウォーターズ(シャーデー)が参加してくれたことはすごく重要なポイントで、本当にラッキーだったと思ってる。僕がこの世でいちばん好きなギタリストの1人だからね。彼がOKしてくれた時はメチャクチャ興奮したよ。もちろん他のメンバーについても、みんな嬉しかった。全員のスケジュールを調整するのは大変だったけど、時間をかけて連絡を密に取り合って、ベストな形でメンバーを揃えることができたんだ。

あなた自身は、ステージ上ではやはりドラムをプレイしているようですね。独力で音を重ねながら作り込んだ音楽を、ライヴで他のプレイヤーと再現する流れはナイン・インチ・ネイルズと同じだと思いますが、逆にニアリーのライヴにおいて、ナイン・インチ・ネイルズのライヴでのアプローチとは違っている部分はどういった点でしょう?

Jerome:スタジオでは90パーセント以上1人でやっていて、ステージではライヴ・バンドに委ねるという点では同じだね。決してワンマンショーではないし、そういう風に見せようとも思ってない。ライヴ・バンドとしては、もっとずっとオーガニックなプロセスを経てる。ナイン・インチ・ネイルズでは、僕個人のインプットを相当入れさせてもらって、音楽家としての才能を発揮することができたと思う。それと同じことを、ニアリーのバンド・メンバー達からも期待してるんだ。今後は、曲作りの面でも彼らと共同作業をやってみたいし、ライヴ活動を通してよりバンドらしくなれば、それもやりやすくなっていくんだろうけど、正直に言ってまだまだこれからだね。アメリカやその他の国を回る本格的なツアーに出れるかどうか、現時点では分からない。クラウディアは出産間近だし、ブレットは関わってるプロジェクトが他にもあって忙しいし。

あなたは、ライヴでクリックガイドをモニターしながら叩く時にも人間リズムマシーンにはならず、ちゃんと自分のグルーヴを出すことに優れた技量を持ったドラマーだと思います。これは何か意識的にプレイに向かうことを要求されるところがあるのでしょうか。それとも、普通に叩いたらあなたには自然にできてしまっていたことなのでしょうか?

Jerome:んー、ステージで意識的にプレイするということはないな。僕にとってはエモーショナルなところとコネクトするってことが一番大事だから。君の質問の意味は、『クリックトラックを聴きながらエモーショナルに叩くことは難しいか』ということかな。時にはそういうこともあるけど、ずっとナイン・インチ・ネイルズでプレイすることでかなり熟練してきたと思う。テクニカル・クルーの中でもクリックトラックを含めてモニターしてる人達がいるんだけど、彼らが言うには、ツアーが始まってから5日〜6日目以降はクリックが聞こえなくなるらしいんだ。ドラムスが完全に同期して鳴ってるらしくてね。それって、音楽と一体となって、楽にやれてる証拠なんだよね。クリックが完全に埋もれるぐらいに完璧に、と同時にエモーショナルに叩けることを僕は目指してきたし、幸運にも(NINに参加して)数年のうちにそれができるようになってたんだ。

DVDリリース後の計画はどうなっていますか? ツアー予定や、次作についての構想など、これからの活動ヴィジョンについて聞かせてください。

Jerome:ライヴDVDがレコード会社からどの国でもリリースされるかどうかはまだ決まってなくてね。もしかしたら、僕のレーベルであるLA COSA NOSTRAから、インディー盤のオンライン発売になるかも知れない。はっきりしたことは、来週か再来週に分かることになってる。その後の予定としては、僕がスタジオに入って、次のニアリーのアルバムに取りかかることになると思う。今年中に幾つかのショーをする可能性もあるけど、まず、EPK(となるDVD)に対する反応を見てから、ということになるね。うまくいくことを祈ってるよ。

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