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私たち日本のファンは、何とかニアリーのライヴを生で見れないものかと望んでいます。また一方で、別のロック・バンドでドラムを叩くあなたの姿を見たいというような気持ちもあったりします。あなたのプレイを再び日本で目撃できる日は来るでしょうか?

Jerome:僕も日本へはぜひ行きたいと思ってるんだ。ただ僕は、KUFALAという野心的だけれど小さなレーベルと契約したわけで、そのおかげで受ける制約というのももちろんある。バンドを日本まで送る費用は決して安くない。メジャー・レーベルではないから、予算もツアー・サポートもない。なかなか難しい状態だけど、もし良い方法があるなら、絶対に行くよ。繰り返すけど、日本は本当に大好きな国だからね。

他のバンドから頼まれれば、そこでドラムを叩くこともあり得ますか? あるいは他のアーティストのプロデュースなどにも興味がありますか?

Jerome:そうだね。実際に、プロデュースやドラムを叩くことに関して、いくつか話を進めてるところだよ。あるシカゴのバンドとか、スウェーデンの女性シンガーとかね。音楽性を限定させたくはないんだ。せっかく自由になって、何でもやりたいと思ったことができるようになったんだからね。ニアリーは自分のバンドだから自分の都合で時間が使えるということもあるし。やってみたいことは色々あるよ。

期待しています。さて、05年10月1日にハリウッド・ボウルで行なわれたナイン・インチ・ネイルズのライヴは、実は私も日本から見に行ったのですが、生涯忘れられないコンサートになりました。あの晩のあなたは一体どんな気持ちでステージに立っていたのか教えていただけますか?

Jerome:あの時には自分が脱退することを全く予期していなかった。もし健康上の問題か何かでそれ以上続けられないと思ったなら、僕自身からバンドのみんなに「申し訳ないけど行かなきゃならない」って正直に言ってたよ。一時期、もしかすると深刻な事態になるかのように思えた時があって、僕自身を含めて、どうなるか誰にも分からなかったんだ。でも、あのハリウッド・ボウルの前日には、そんなに深刻な問題ではなくて、薬で抑えられるということが分かった。だから、バンドとマネージメントに対して「もう大丈夫だから」ってことは伝えたんだ。で、ハリウッド・ボウルでプレイできて、気分は最高だった。それが土曜日で、次の火曜日に、解雇を言い渡されたんだ。僕の方としては、バンドのためにもファンのためにも、ツアーに全力を注ごうと固く決意してたにも関わらず、その選択肢は与えられなかった。彼らは僕をバンドに留めることに全く興味がない様子だった。だから、その時点で僕は考えを見直して脱退することにしたんだよ。

ニアリーの公式サイト内にあるフォト・ページで、映画『ブロークバック・マウンテン』のポスターに、あなたとトレント・レズナーの顔をコラージュした写真がアップされていますね。思わず笑ってしまいましたが、こんなイタズラをした理由を教えてくれますか?

Jerome:もともと僕は、自分をそんなにクソ真面目に捉えてはいないんだ。たとえトレントが僕に対して怒ってオンラインでわめき散らしたりしても……彼はファンクラブ「ザ・スパイラル」のサイトに3回ぐらい現れて、彼と僕との間に起こったことについてファンが意見を交わすのを非難したんだよね。僕はその間、ただ端から見ていて反応しないでいた。彼はそこでキツい言葉を投げかけたから、多くのファンがショックを受けたりしてたけど、実際に健康問題を起こしたのは僕の方なんだよ。ちょっと信じられなかったね。2回までは我慢して見てたけど、3回目に耐えきれなくなって……僕のことを嘘つきだとか、悲劇の主人公を気取ってるとか、あまりに酷く言うからさ。ついにこちら側の言い分を語ることにしたんだ。真実そのままをね。それが気に入らなかった彼がさらに反撃して。それから2〜3日のうちに、例の『ブロークバック・マウンテン』のポスターを、あるファンが作ってアップしたんだ。このくだらないオンライン・バトルを表すのに、なんてちょうどいいポスターなんだ、と感心しちゃって。最初に見た時は死ぬほど笑ったし、今でも可笑しいと思う。自分としては、この間の彼に対しても自分に対しても、笑い飛ばしてしまえなければマズいと思ってる。だからサイトに載せたんだ。あまりクソ真面目に考えすぎないようにね。病院の一室で、チューブやなんかが差し込まれた状態で寝てても、シリアスに考えすぎないようにするのが僕の性格なんだよ。

脱退後のあなたに対するトレントの発言には攻撃的なものもありますが、私はその言葉の裏に「あなたを失うことになってしまった悔しさ」という本音が透けて見えるような気がしてなりません。彼は不器用で、自分にも厳しい分、つい他者にも厳しくなりすぎる傾向があるようで、過去における他の人間関係を見ても、良好な関係を持続するのが難しい人なのだろうとは思います。あなたとしては、いつかまた彼と普通に話す時が迎えられると思いますか?

Jerome:どうなんだろう、それは分からないけど、今回のこと以前から僕は、トレントとのパーソナルな関係と仕事上の関係は性質が違うものだと感じてたよ。友人としてのトレントと、ボスとしてのトレントの間にハッキリと線引きが出来ていて、境界線を踏み越えることは決してしなかった。実際、2000年のツアーでオーストラリアと日本へ行った時、彼は本当に死んでしまうんじゃないかと思うくらい深酒していてね。僕は、マネージメントの所へ行って「彼に治療を受けさせないなら辞める」と言った唯一のバンド・メンバーだった。「これ以上、好きに飲ませるわけにはいかない。こんな状態で続けたくない」とはっきり言ったんだ。僕は当時メンバーの中では新人だったし、いちばん失うものが大きかったんだよ。自分のキャリアというものもまだ確立できてなかったしね。それなのに、トレントを救わなければならないと主張したメンバーは僕だけだった。だけど、僕の健康問題が起きた時、残念ながら彼は同じことをしてはくれなかったんだ。僕としては無礼な扱いを受けたように思えるし、ヒューマンなレベルでもかなり酷いことをされたと感じてる。僕はトレントからのサポートを必要としてた。友人としてもボスとしても「ジェローム、大丈夫だから。心配するな」って言ってもらいたかった。でも、それはかなわなかったんだ。もし僕の健康状態が深刻なことになっていて、僕から彼に「残念だけど続けられない」と言ったんだったら、代役を立ててツアーを続けることは理解できたよ。でもそうじゃなかった。僕は問題なく続けられる状態だったのに、彼らはチャンスを与えてくれなかった。そういうことだったんだ。

……あなたは昨年の暮れに、髪を短く刈ってしまいましたよね。「1から出直すのに気合いを入れる」的な意味があったのでしょうか?

Jerome:その通りだよ。人生において何か新しいことを始めようと思った時は、必ず頭を丸めるんだ。去年バンドを辞めた日……10月4日に坊主にして、その後はそのままずっと伸ばしてた。そして、ニアリーが一連のギグを終えた先月の27日にまた坊主にしたんだ。それまでに抱えていたものを一気に捨て去りたい時期というのがあって、そういう時まっさらな状態からやり直すために髪を刈るんだよ。

わかりました。今後の活躍を心から祈っています。じゃあ最後に、最近いちばん嬉しかったことを教えてください。

Jerome:最近いちばん嬉しかったのは、2週間ほど前に僕の妹が癌だと診断されたんだけど、早期の発見だったために完治できるということが先日になって分かったことだね。

それは本当によかったですね。今日はどうもありがとうございました。

Jerome:こちらこそありがとう。


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